ウォームアップは怪我を防ぎ、パフォーマンスを高めるために、重要なことです。
皆さまもご存知の通り、トレーニングや競技の前に適切なウォームアップをすることには、多くの利点があります。筋肉や神経系に刺激を入れることで、プレー中の関節の可動域が拡げることができたり、大きな力を発揮する準備を整えたりすることができます。また、ウォームアップ中は、アスリートの体温と血流も上昇し、疲労物質など老廃物の除去にもつながります。 ところで、指導者やアスリートの皆さん、前十字靭帯断裂(以後ACL断裂)と聞くと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
苦い思い出がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ACL断裂は、選手生命にも関わる非常に大きな傷害です。出来る限り避けたい傷害の1つといえるでしょう。もちろん、ACL断裂は、予期せぬ形で起きてしまうこともあります。しかし、しっかりしたウォームアップを実施することで、ACL断裂リスクを低減させることができます。
特に、ACLに関する傷害は、有酸素運動と柔軟性に焦点を当てた3ステップのウォームアップを行うことにより、その可能性を減らすことができると言われています。
ということで本日は、ACL断裂予防のためのウォームアップ方法を紹介したいと思います。
『ACL断裂を予防するために重要な3ステップ』
ACL断裂を予防するために効果的なウォームアップには3つのステップがあります!1つずつ見ていきましょう。
ステップ1:有酸素運動 ジョギングなど、約5分間の低レベルの有酸素運動を行う。
急に高強度なトレーニングに入る前に、身体の準備、そして心の準備を整えるためにも、軽い有酸素運動から始めましょう。
ステップ2:ダイナミックストレッチ このステップでは、スポーツの重要な部分であるハムストリングスや臀筋など、股関節周辺の筋肉や関節を主にストレッチしていきます。
これから、説明する動作は5回ずつ、左右両方を行いましょう!! 【手でつま先を交互にタッチ】
脚を大きく開き、手と反対側の小指のつま先の外側を交互にタッチする。
【膝を胸の高さまで引き上げキープ】
立った状態で、片方の膝を胸に引っ張り、その状態で3秒間保持。
【かかとを臀部に付けた状態でキープ】
立った状態で、かかとを臀部まで引き上げ、その状態で3秒間保持。
【クレードルウォーク】
立った状態で、片方の足首を掴み、脛部が地面と並行になるように脚を持ち上げる。交互に行う
【サイドランジに捻りを加える】
横方向にステップし、体を下げて膝を約90度曲げます。反対側の脚は伸ばした状態で、股間を伸ばす。胴体を曲げた脚の側に捻る。
【足振り】
サッカーのキックのように足を大きく蹴り出す。
【足を大きく回す】
脚をまっすぐにし、脚を外側に回転させる。
【ハンドウォーク】
腕立て伏せの位置で、脚を手まで一歩ずつ動かす。脚が手にたどり着くと、手を前方へ進ませていき腕立て伏せの状態に戻す、これを繰り返す。行っている時は、できる限り背中を真っ直ぐな状にで保つように意識する。
ステップ3:動きの準備 これからのエクササイズは、ACL断裂予防にとても重要な要素となります。
【ラテラルシャッフル】
反復横跳びのようにサイドステップを行う。
【パワースキップ】
膝をできるだけ高く上げるスキップ
【サッカーキック】
斜め方向に足を大きく降る上げる
【バックランジ】
かかとに重心を置いて、後方への足を動かす。
【サソリ】
うつ伏せで手が大の字になるように寝転び、足を反対の手に向かって蹴り返す。手は動かない。
このウォームアップは、このステップ通りに進めていく必要があります。ステップごとに運動強度が増すように設計されています。
*参照:Condition, P. (2012). ACL Injury Prevention 3-Step Warm Up – Performance Condition.
『最後に』
いかがでしたでしょうか?
以上が、ACL断裂予防のために有効なウォームアップの3ステップでした。
ACL断裂は非常に重症です。この怪我により「1シーズン失った」という話もよく聞きます。
紹介したウォームアップなどを上手に導入して、可能な限り怪我のリスクを減らしていきましょう!!
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『筆者 Daisuke Matsuuraについて 』
関西大学大学院卒。オーストラリア、ニュージーランドでラグビーコーチング、分析等を学び、現在はニュージーランドと日本でラグビーコーチ/アナリストとして活動中。コーチとして、ラグビーワールドカップの優勝を目指している。今後は、ヨーロッパやアルゼンチンへ活動を拡げようと計画中。言葉、映像、環境を操り、人との繋がりを大切にして、選手のパフォーマンス向上とチームの勝利を目指しています。
SNSにて、最先端のラグビーコーチ、アナリストとしての活動内容を日々投稿中!!